同じように話を聞くという形式的な部分では、精神科や心療内科の先生の診察とカウンセラーのカウンセリングは同じようにみえますが、それぞれしていることは違います。
精神科や心療内科の先生の診察は、今の行き詰まっている現状について、詳しく話を聞きながらそれをよくするための薬を処方してくれます。中には、カウンセリングで使われる技法を用いて、薬だけではない治療をされる先生もおられますが、限られた診療の時間内では、処方した薬によって重大な副作用がなかったか、薬は適量であったかなどをじっくり聞くことが多いのかもしれません。
今の行き詰まりを解消するためには、服薬治療も有効です。薬は飲んですぐに効果が現れたり、数週間の内に気分が改善されてくるので、その時をよくするには有効だと私は思います。
カウンセリングは、即効性はありません。これまで溜めていた思いを話すことで気持ちが楽になることはあるかもしれませんが、話をしてもすぐに効果は実感できない方がほとんどだと思います。ではなぜカウンセリングが必要なのでしょうか?それは、行き詰まった状況を整理し、ご自分の力で解決する方法を一緒に考え実践することが出来るからだと思います。ご自分の物事の考え方の傾向を知り、どんな時にどんなふうに自分が苦しくなるか、それを知ること・対処する力が身に付いていることで、これから先に起こる困難にも対処できるようになっていくと思います。
私は、服薬治療は今の苦しい状態をよくするため、カウンセリングは今の苦しい状態を自分の力で抜け出す力を身につけ、未来においてもその力を発揮することが出来るものだと考えます。
今、精神科や心療内科にかかっていて、カウンセリングを受けてみたいと思われた方は、主治医の先生に相談してみて下さい。中には、服薬治療を優先した方が良い方もおられます。主治医の先生が、今このタイミングであなたにとってカウンセリングをすることが治療で大切と判断された場合に、カウンセリングが適用されます。